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cleiant : 

岐阜県関市

staff : 

編集・脚本・監督 フルタヨウスケ

企画・制作  株式会社HIORYES

プロデューサー・撮影  藤田豊和(株式会社HIORYES)

cast : 

浅井あやね、山口ことね、山口真季、斉藤竜也、松野正幸、関大輝、山本綾佳、金山祐大、山本ありさ 他

Facebookに死んだ友人の投稿が上がってきたのはこのフラワーズブルームの脚本を書いていた時だった。


僕は15年前に自主映画を撮ったのだけれども、彼はその時に参加してくれた俳優の1人で、3年前に他界した。
投稿はFacebookから自動で送られてくる彼の誕生日の投稿だった。

彼とは長い付き合いで、出会いは映画の現場だった。
現場といっても自分の撮影ではなく、知り合いに頼まれてエキストラで行った他の映画の現場だった。
同じエキストラで来ていた彼とはなぜだか話が合い、そこから関係が始まった。


彼はCMやドラマなど映像の仕事と並行して舞台にも出演していた。
僕は誘われて何度か彼の舞台を見に行った。彼の人懐っこいキャラクターと演技の確かさで、僕は自分の映画の出演をお願いした。

その後、ある舞台をきっかけに僕が脚本を書き彼が主演で映画を撮る撮ろうということになった。
が、ついにそれは実現できなかった。

もちろん資金面の問題もあったが、当時僕の書いた脚本はまだとても稚拙なものだったし、何よりも彼は重い持病を持っていて、そのせいで入退院を繰り返していたからだ。


結局そのあと彼は長い間入院をすることになり、そのせいもあって僕はあまり連絡をとらなくなった。
しかし彼はたまに電話をかけてきてくれた。声は少し元気がなくなっていたけれど彼の人懐っこさは変わっていなかった。『元気ですか? 変わりないですか?お互い大変だけど頑張りましょう」そんないたって普通の会話が彼との最期の会話になった。


半年ほどしてかかってきた彼からの電話の声は、彼ではなく彼の弟さんだった。

彼の投稿の夜、YouTubeの画面を開くと、よく見るFIRSTTAKEという音楽チャンネルの投稿があがっていた。
そのサムネイルには知り合いの女性が写っていた。彼女も同じく15年前に僕の映画に出てくれた1人だった。

彼女はもともと音楽家を指向していたが、その頃は役者も兼業しており、何のきっかけだったのか僕の映画に参加してくれた。

画面の向こうから楽しそうに奏でる彼女の音を聴きながら、僕は人の運命の不思議さを思った。
15年前に同じ場所にいた2人。
片方はもういない、片方では何百万人の前にいる。そして今僕はこの八丈島で1つの物語の脚本を書いている。

僕がこの脚本を3週間で書き上げられたのも、何とか監督として演出を完徹できたのも(皆さんの助けがあったことは言うまでもない)、この昔の因縁というか、何か不思議な力が働いていたように思う。

そうでなかったとしても、このときの奇妙な体験は僕に何かしら影響を与えている。

僕は死んだ彼のように演技もできない、彼女のような美しい音を奏でることもできない。あの時に書いた彼との映画ももうつくることができない。
けれども、あの時と同じように『物語を語る』ことは続けられると思った。

だから僕の書いた(もちろんこの作品はみんなの力でできているものだけれど)このフラワーズブルームはもっともっと多くの人に見てほしいと思うし、もっともっといろんな人に知ってほしいと思う。

そして、これからも自分の『物語を語る』という行為を(それは必ずしも映像と言う媒体では無いのかもしれないけれども)続けていこうと思う。

ここから仕事の話で恐縮なのだけれども、僕はもっともっと物語をつくっていきたいという思いを今とても強く持っています。
だから僕のつくるものがいいと思ったら、そしてこいつに何か任せてみたいと思ったならぜひ声をかけてください。
僕に何かつくらせてください。


このフラワーズブルームは全話公開されて監督という仕事は終りました。でもこの作品は僕の中ではずっと残り続けます。そして皆さんの中にも残り続けたらいいなと思います。


時間が経ってこのフラワーズブルームを見返し、作品の中で生き生きと跳び回る花子と香澄を見るたびに、このことを思い出し、また何かつくりたいという衝動にかられると思います。

最後になりましたがこのフラワーズブルームを生み出すきっかけを与えていただいたプロデューサーの藤田くんをはじめ、関わっていただいたスタッフ、キャスト、関市民の皆様に心から感謝とお礼を申しあげます。


ありがとうございました。

関市プロモーションドラマ Flowers Bloom

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